tayst

ウイスキーのテイスティングノートの書き方

「おいしい」の先が言えなくても、まったく問題ありません。テイスティングノートは専門家の採点表ではなく、自分がその 1 杯をどう感じたかの記録です。香り・味わい・余韻を順に追って、思い当たる言葉を選ぶ。それだけで 1 杯ぶんが残ります。このページでは、はじめての人が最初の 1 杯を書けるところまでを説明します。

書くと、味が分かるようになる

同じウイスキーでも、黙って飲んだときと、言葉にしようとして飲んだときでは、拾える情報の量が違います。「甘い」と書こうとすると、蜂蜜なのか、カラメルなのか、果物なのかを確かめに、もう一口いくことになります。この確かめる一口が積み重なっていくと、しばらく経った頃には自分の好みがはっきり見えてきます。ノートは記録であると同時に、味が分かるようになるための練習でもあります。

上手に書く必要はありません。読み返すのは自分だけです。

3 つを、この順で追う

順番には理由があります。口をつけた瞬間に香りの印象は上書きされてしまうので、嗅ぐのが先です。

  1. 1

    香り

    Nose

    グラスを揺らさず、鼻を近づけて 2〜3 回に分けて嗅ぎます。一度に強く吸うとアルコールの刺激で何も分からなくなるので、口を軽く開けて浅く。最初に浮かんだ言葉を 3〜5 個も選べば十分です。

    数滴の水を落として、もう一度嗅いでみてください。閉じていた香りがはっきり出ることがあります。

  2. 2

    味わい

    Palate

    少量を口に含み、舌の上で転がしてから飲み込みます。甘みはどこにあるか、渋みや刺激はあるか。香りで拾った言葉が味でも出てくるかを確かめると、その 1 本の癖が見えてきます。

    香りと同じ言葉が並んでも構いません。「香りでは蜂蜜、味でも蜂蜜」はそれ自体が特徴です。

  3. 3

    余韻

    Finish

    飲み込んだあとに口と鼻に残るものです。長いか短いか、そして何が残るか。ボトルの個性が最も出るのがここで、香りと味わいが似ていても余韻で差がつきます。

    10 秒ほど何もせずに待ってから書くと、残っているものと消えたものが分かれます。

言葉が出てこないときは、思い出さずに選ぶ

「うまい」以外が出てこないのは普通のことです。tayst では香りの言葉を「大分類 → 中分類 → タグ」の 3 階層に整理してあり、大分類から下りていけば言葉を思い出す必要がありません。まず大きく当たりを付けて、近いものを選べば十分です。

下の 8 個が大分類です。それぞれの下に中分類があり、その先に具体的な言葉が並びます。香り・味わい・余韻のどれでも同じ体系を使うので、覚えるのは 1 回だけです。

  • フルーティ(果実)

    柑橘 / 果樹の実 / ベリー / トロピカル / ドライフルーツ

  • フローラル(花・植物)

    花 / 草・葉 / ハーブ

  • スウィート(甘味)

    蜜・砂糖 / キャラメル / 菓子

  • スパイシー(香辛料)

    甘いスパイス / 刺激的なスパイス / 薬草

  • ウッディ&ナッティ(樽・木)

    オーク / ナッツ / 土・革

  • スモーキー(煙・ピート)

    煙 / ピート / 海

  • モルティ(麦芽・穀物)

    穀物 / 焼いた穀物 / 乳・酵母

  • ワイニー(ワイン樽・酒)

    シェリー / ワイン・酒

はじめの 1 杯は、方向の違う 3 つから選ぶ

銘柄を覚える必要はありません。ウイスキーの味は大きく方向が分かれていて、最初にどれか 1 つを飲んでおくと、次の 1 本を「あれより甘い」「あれよりクセが強い」と比べられるようになります。お店で頼むときは、下の言い方をそのまま伝えれば通じます。

  • 甘く、輪郭がはっきりしたもの

    アメリカのバーボンが分かりやすい代表です。バニラやカラメルのような甘い香りが強く出るので、「香りを取るというのはこういうことか」が最初につかめます。少し水を足しても崩れません。

  • 華やかで、穏やかなもの

    スコットランドのスペイサイド地方のものが多く当てはまります。花・りんご・蜂蜜のような香りで刺激が穏やか。日本のウイスキーにもこの方向は多く、食事と合わせやすい方向です。

  • 煙っぽく、クセの強いもの

    アイラ島のものが代表で、煙・潮・薬品のような香りが立ちます。好き嫌いがはっきり分かれますが、一度体験しておくと「クセが無い」の基準が自分の中にできます。少量から試すのがおすすめです。

体調に合わせて、無理のない量で。少量でもノートは書けます。20 歳未満の方の飲酒は法律で禁じられています。

料理との相性も、同じ 1 枚に残す

ウイスキーは食事と合わせても飲みます。何と一緒に飲んだか、相性は 5 段階でどうだったかを添えておくと、あとで「このタイプはチョコレートと合う」といった自分なりの型が見えてきます。料理名は自由に書けます。

続けると何が見えるか

書き溜めたノートは自分だけが読めます。数が増えると、自分がどのフレーバーを好んで選んでいるかが偏りとして出てきます。ボトル別の傾向は全ユーザーの投稿を集計したチャートでも見られるので、自分の印象が多数派なのかどうかも確かめられます。

1 杯ぶん、書いてみる

タグを 3 つ選んで保存するだけでも、立派な 1 枚です。書き足りなければ、あとから直せます。

テイスティングノートを書く料理との相性を記録する